犀の角

自分が傷ついたと言い募る者は、常に誰かを加害者に仕立て上げる。

あれが私を苦しめるのだと言い、その因果に固執する。
その苦みは、かつては甘美だったにもかかわらず。

それを足かせにしているのは自己なのだ。


いったい前と後では何が変わったのだ。
起きたことは何も変わってはいなかった。


幻痛が人を偏在させる。


「犀の角のようにただ独り歩め」とは、因果の関係を断ち切ることではなく、
すべての因果を相関的に見ることかもしれない。