2008-01-01から1年間の記事一覧

安心の源

動物にとって食と性をめぐる争いは日常の出来事であり、かつ葛藤の源である。 動物は食を個人的なものとして争いを避け、性を公開することにより、所有を専らとする競合関係に陥らないことで、葛藤を解消しようとする。 しかし、人間はわざわざひとりで食べ…

ファンドレイジング

本日より日本で初めてファンドレイジングを専門とする会社「ファンドレックス」を起業した、鵜尾雅隆さんのインタビューが掲載されます。 ご笑覧ください。 ファンドレイジング。 あまり馴染みのない言葉だが、これはNPOや公益法人が活動するために必要な資…

『蟹工船』よりリアルな幸福の下降線

経済行動学【後編】 経済学が想定する人間像は、「合理的な判断を下せる人たちが自分の利益を追求する」といったものだが、 私たちの日常の振る舞いは明らかにそれを裏切っている。 実はそうした合理的な行動モデルは、近代社会が生んだドグマに過ぎないとい…

アンボス・ムンドス

『アンボス・ムンドス』桐野夏生を読了。 誰しも切なさを押し殺して日々生きている。針で突けば皮は容易く破れ、血が噴出するくらいの思いを抱えている。 そういったことに、沈む夕日を見たり、人気のいなくなったエレベーターの中に取り残されたとき、不意…

経済は感情で動いている

2002年、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、経済学と認知心理学を統合した。彼の影響でがぜん活気づいたのが「経済行動学」だ。 研究者たちは、人の感情や直観、記憶を重視し、現実に即した経済学を再構築しようと試みている。 「行動経済…

偶然のチカラ

本日より宗教学者、植島啓司さんのインタビューの後編が掲載されます。 ご笑覧ください。 「偶然のチカラ」を味方につける

格付けしあう女たち

今日のロンドンハーツの『格付けしあう女たち』を見て思ったのは、 はるな愛に決定的に欠けているのは、男に対する諦観と断念だ。格付け1位となった安めぐみの“腹黒さ”は、ある種の同性からすれば、男からのどんな話題にも愛想よく相手をする態度を指して媚…

何も選ばない

本日より宗教学者、植島啓司さんのインタビューが掲載されます。 ご笑覧ください。 「何も選ばない」生き方のすすめ

化する

対象化するとは、事物を明確に捉える上で欠かせないが、 「捉える」とは解釈である以上、 対象を認識化に置く時点でバイアスがかかっていることになる。 常に移ろう世界を認識という言語的な記述に変換することで人は何事かを理解する。そのとき時間は止めら…

石破茂氏

石破茂氏がこのような見解の持ち主とは知らなかった。 http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8451 帝国主義が植民地解放戦争を行ったというのは、どだい言語矛盾だ。侵略する側は、おのれの行為を侵略ではなく権利と見なす。 だから合…

本日よりNPO自殺対策支援センター「ライフリンク」代表、清水康之さんのインタビューが掲載されます。 ご笑覧ください。人を死に追いやらない豊かな社会を目指して〜自殺から見える日本の現実〜

更迭によせて

正当化とは仮定と解釈の話であって、事実の受け止めがたさに直面したとき、往々にして起こる。自分を被害者だと言い募るものは、絶えず他者を加害者に仕立て上げることを躊躇わない。 おのれ一個の不安という実存の問題が最大の障害だ。

不安について

本日より渋滞学後編が掲載されます。 ご笑覧ください。 *「働かないやつが悪いから自業自得」「身勝手に人を殺したやつは抹殺すればいい」 結果から原因を求めているつもりでも、結果から別の結論を導いているだけの言説が目に付く。 手近な確答を手にした…

性差について

生物学的な違いによる差は明らかでも、その差が何を招来するか特定できない。 なぜなら認識は常に解釈であり、身体は「身体性」という概念の外にあるから。 可視化されているからといって、見えているとは限らない。 生体の違いの強調を性別役割の固定化と考…

贈与

南アフリカのサン族のハンターは、狩った獲物をなんら貢献しなかったものにも分ける。分配されたほうは、とりたてて礼を言うわけでもなく、ときに「獲物が小さい」などと非難めいた声をあげるという。 指弾されたハンターは抗議するわけでもない。 彼らはお…

引用

おとなというのは、どうしてこうも、けろりとして、自分の子どものころを忘れて、 子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだということを、 まるでわからなくなってしまうのでしょう(この機会に、わたしはみなさんに心からお願いし…

可道非常道

生物学者の団まりな氏が今日から日経BPに登場です。*インタビューにも出てくる「階層」という語は魅惑的だ。世界はあるがままにあるが、同時にあるがままには存在していない。 世界は「私たちが見たいように見る」という解釈で成り立っている。 (「マトリ…

0.5秒前

脳神経学者のベンジャミン・リベットの行った実験で明らかになったのは、 目前のコーヒーカップを取ろうといった具合に、 「何かをしよう」と思った0.5秒前には、すでに神経活動が始まっていることであった。 この事実にアメリカ人は驚いたという。 なぜなら…

越南の人

新宿のサザンテラス近辺を歩いていたら、 不意に男性に「この辺りに大きい書店はありますか?」と尋ねられた。少し訛りのある言葉だ。 ちょうど私も紀伊国屋へ行くつもりだったので、 「じゃ一緒に行きましょう」と高島屋にかかる陸橋をふたりして渡り始めた…

階層

事物を微細に見ていけば、やがて正しい見解に辿り着けるという考えは誤りだ。 なぜなら認識の中に正解は求められないのだから。 正しさは、それが概念である以上、常に「正しくないもの」と対になっている。 認識の本分は、あれとこれとを分けることにある。…

炎上、祭りはなぜ起こるのか

【炎上、祭りはなぜ起こるのか】荻上チキ氏

4.44/Felix Kröcher 「Born Slippy」

今年のWIREは食い足りないものだった。 昨年のトリの凄まじさをもう一度ということで、Felix Kröcher 「Born Slippy」 4.44あたりからが素晴らしい。

所有欲

虎は虎同士で争うことはあるが、決して獲物を狩るように仲間を殺しはしない。 だが人は獲物を狩るように、同種に向けてナイフを閃かせ、銃口を突き付ける。 ニホンザルは食料資源の所有を巡って闘争するが、仲間を殺害することはなく、 優劣の確認に終始する…

不求

求めようとすること自体が求められない理由になる。対象を見ようとすることそのものが、「見ようとして見る」ものしか私に見させない。確定されていると同時に確定されていないものが常に対象になっている。方法が肯定され続ける限りは、それは見えてこない。

ダイアローグ

ご笑覧いただければ幸いです。デヴィッド・ボーム『ダイアローグ』

全方位的思考

人は自らの顔を直接見ることはなく、また背後を見ることもできない。自己の同心円上に世界を見つめなる主体こそ「自分だ」と意識したとき、 顔や背後を直接見ることのない自己が生まれる。 全方位にものごとを考えるとは、 見なれたそのようなやり方で精緻に…

スワニスワフ・レッツ

誰がテーゼとアンチテーゼに、きみらはジンテーゼになりたいかと きくだろうか きみの夢について語るな フロイト学者が権力の座につかぬともかぎらぬ 「進歩バンザイ」とひとびとが叫んだら つねに問え―「誰の進歩か」と すべては人間の手の中にある だから …

反転

思考は、世界に存在する事物を対象化する。 私に対する事物を見ることで思考は生まれる。 私に対する事物は、私にとって常に反転している。網膜が上下を逆転し、脳がそれを反転させている。 私は世界を「ある見方」で見ている。 それを知って、「あるがまま…

告知2

前回に続き告知です。 「失敗学」の畑村洋太郎さんの後編です。ご笑覧いただけたら幸いです。

告知

本日より【多角的ストレス研究所】と題したインタビュー連載が始まります。第一回目は「失敗学」の畑村洋太郎さんです。 ご笑覧いただけたら幸いです。