親密さはセックスを遠ざける

19世紀末、社会学者のエドワード・ウェスターマークは「未開」民族を研究していたが、
親子を含め幼児期に親しくなった異性同士は、性交渉を避けあう関係になることを発見した。


しかし、同時代人のフロイトの提唱したエディプス・コンプレックスとは逆の考えであった。


ウェスターマークの説によると、エディプス・コンプレックスを持たずとも、親子は放っておいてもセックスしない。


フロイトはその説を黙殺した。


ウェスターマークが脚光を浴びるようになったのは、1980年代になってからだ。

大きなきっかけは、家族を廃止して、子どもを共同保育した、イスラエルキブツであった。

一緒に育った男女は、将来キブツを継いでくれるようにと期待し、教育したのであったが、同じキブツの出身者は結婚せず、別のキブツの異性を求めて出ていった。



一緒に育った男女は、性行為を忌避しあう関係になる傾向があることが報告されるようになる。



それがどういう性格かはわからないが、ある親しさは性行為を求めないようだ。


親密さはセックスを遠ざける--山極寿一氏