2009-01-01から1年間の記事一覧

自立的学習

経験から学ぶとは、経験に依拠するのではなく、経験を問いかけること。 石を持ってみて、「重い」と感じる。 私たちは、その経験を確かな事実として、 論議なり真偽を問う場で経験を根拠に「確かに重かった」と主張する。 事実としてその石は重かった。だが…

愚劣な権謀術数家

歴史に「もし」はありえないが、ナンセンスを先刻承知で思うと、 安重根が東洋平和を願うなら、本当に撃つべきは伊藤博文ではなく、山県有朋であったと思う。『山県有朋』

水月

親密な間柄での言葉のやり取りは、まるでジャズの即興演奏のようなグルーブを与えてくれる。 互いの奏でるリズムは一見すると対称的でないように見えるが、対称性があるからこそ、調和は生まれる。親密さの度合いが高まり、距離が縮まると、その対称性のもた…

記憶の総量

私たちは、私たちがこれまで生きてきた体験とその記憶が、 自分のアイデンティティを形成していると思っている。 だがしかし、今日一日のことを考えても、道ですれ違った人、同じ電車に乗り合わせた人、コンビニで出会った人。そういう人がいたことは確かで…

超高齢時代「おひとりさま」生活のすすめ

ご笑覧ください。超高齢時代「おひとりさま」生活のすすめ−−上野千鶴子氏 後編

仮想現実

外界を見るとき、外の何かを見ているつもりでありながら、そのとき対象ではなく、私は私の見方を見ている。 しかし、私の見方を離れた「ものそのもの」があるわけではない。沈む夕日を見る私。私と独立した夕日があるわけではなく、夕日と私だけでなく、それ…

老後の同居は幸せな時間を奪う

家族と親密に暮らすのが幸せ−−。 この考え方を疑う余地のない人にとって、高齢者のひとり暮らしは、孤独で寂然とした老後に映るだろう。 体力が減退すれば、段差につまずいて転倒したりと、生活上のリスクは高まる。家族と同居すれば、リスクと孤独というス…

性犯罪被害にあうということ

たとえば、私たちは長らく「いたずら」や「痴漢」という言い方をすることで、 性犯罪の加害性をまともに扱うことを避けてきたのではないだろうか。 そのことで、被害者を人知れず苦しむという孤独に追いやってきたのかもしれない。性犯罪は、加害者がまず弾…

懸待表裏

『五輪書』曰く「先といふ事、兵法の第一也」。 「懸待表裏」の待とは、仕掛ける相手に対するものではなく、自身に対するものだと理解すると、存在の関係性や時間、速度というものを改めて考察する上でのガイドラインになってくれそうだ。 何かが起きて、そ…

リアルタイム

クリアカットな思考とその産物の託宣をありがたがる傾向は、その信奉者とともに増えている。「情報化社会の次は知識社会の到来だ」という予想屋の口上が本当ならば、 過去の情報の蓄積と検索、観察と記録という親しみある手法はいよいよ幅を利かせるだろう。…

親密さはセックスを遠ざける

19世紀末、社会学者のエドワード・ウェスターマークは「未開」民族を研究していたが、 親子を含め幼児期に親しくなった異性同士は、性交渉を避けあう関係になることを発見した。 しかし、同時代人のフロイトの提唱したエディプス・コンプレックスとは逆の考…

セブン-イレブンの正体

毎日の暮らしから切り離せない存在となっているコンビニ。 中でも全国に1万2000店を展開しているセブン-イレブンは年間2兆4000億円の売り上げを誇る業界最大手の存在だ。 生活の利便を支えるコンビニだが、その業務の実態は「まるで、カニコー(蟹工船)」…

食という葛藤

動物の生存をめぐる争いの火種を突き詰めていくと、“食”と“性”という要素に行き当たる。 どちらも生きることに深く関わっている。 彼らは、どのように食と性をめぐる葛藤に対処しているのか。 ご笑覧ください。 「一緒に食べる」の革命性--山極寿一氏

拍手

観察によるルールの発見は、対象に共通する何かを見出すのではなく、 「共通した何か」を見出す自己をつくることが多い。手を叩くまで鳴るかどうかわからない。叩いて初めてそれはわかる。 この体験は観察することができない。

死者への宣誓

共同体は外部を排他したところに立ち上がる。 共同体の共同体たるゆえんは、その土地と血に関する排他的な記憶に根ざす。 従って、死者が生者を守るという土と血の物語が構成員の団結力を高めることになる。 政が祭祀であったと聞くと、いまでは時代錯誤も甚…

セックスとジェンダーを巡る物語

我々は、ある特定の社会や文化がもっている男と女の考え方や振る舞いへの期待を 人間の本質にもとづいているものと勘違いしている。蓋し、本質とは常に「名付けられないもの」の別称でしかない。 田中冨久子氏インタビュー

蝶の羽ばたき

「なんとかしなくてはいけない」という事態に突き当ったとき、 私たちががぜん活気づくのは、その「なんとかしなくてはいけない」事態によって害を被った人や事柄に対し、 私自身をおろそかにし、私の理想を勝手に当てはめることに夢中になれるからだ。 この…

生まれた子供に嫉妬する夫たち

本日から原宿カウンセリングセンター所長、信田さよ子さんの記事が掲載されます。 愛があれば互いを慈しみあうと私たちは思っている。 しかし、家族においては、愛が憎しみを招く呼び水になっている。 ご笑覧ください。 生まれた子供に嫉妬する夫たち